令和8年1月25日(日),杵築市文化体育館において「令和7年度 減災シンポジウム in 杵築市」を開催しました。本シンポジウムは,大分大学減災・復興デザイン教育研究センター,杵築市,大分県,関係機関が連携し,地域住民とともに災害リスクを学び,実践的な防災・減災の在り方を考えることを目的として開催したものです。
気候変動の影響により自然災害は激甚化・多様化しており,杵築市においても,過去の土砂災害や河川氾濫,近年の豪雨災害,地震・津波リスクなど,複合的な災害への備えが求められています。本シンポジウムでは、「災害を正しく知る」「実践的な避難行動を考える」「次世代の視点を防災に生かす」という三つの視点を軸に,杵築市の持続可能な減災社会について多世代・多主体による議論を行いました。
第一部 「災害を学ぶ」では,大分大学減災・復興デザイン教育研究センター長の鶴成 悦久が,杵築市の地形特性や過去の災害を踏まえた災害リスクについて解説しました。続いて,杵築市,大分県,気象庁大分地方気象台,国土地理院九州地方測量部から,防災行政に関する最新の取組や知見が紹介されました。
第二部 「実践的な避難計画に向けて」 では,実践的な取組としては,小規模多機能型施設ひまわり荘の重松賢一郎氏より,要配慮者利用施設における避難確保計画の実践事例が報告され,日常的な備えや地域との連携の重要性が共有されました。
第三部 「若者からの提言」 では杵築高等学校の生徒と大分大学学生(学生CERD)による「減災社会に向けた若者からの提言」をテーマに,フィールドツアーやワークショップを通じて得た学びをもとに,将来の杵築市の姿について具体的な提案が行われ,会場から大きな共感を得ました。
第四部 「市民参加によるディスカッション」では,「みんなでつくる杵築市の防災・減災」をテーマに,市民,行政,専門家,若者世代が一体となり,参加型アンケート(クリッカー)を活用しながら意見交換を行いました。「この10年間の災害を振り返る(意識と対策)」, 「事前の備えと対策」,「避難について」をテーマに多角的な視点から議論が展開されました。
当日実施したアンケートの自由記述欄には,多くの肯定的な意見が寄せられました。
まず,シンポジウム全体の構成や内容の分かりやすさについて,「初めて参加したが非常に分かりやすかった」「専門的な内容を身近な事例で説明してもらい理解が深まった」といった意見が多く見られました。過去の災害を具体的に振り返りながら,現在の防災・減災につなげる構成が,参加者の理解促進に寄与したことがうかがえます。
次に,参加型の運営手法に対する評価が目立ちました。クリッカーを用いたアンケートや双方向型のディスカッションについて「自分の意見を反映できるのが良かった」「会場全体の考えを可視化でき,防災を自分ごととして考えられた」といった声が寄せられ,単なる講演形式ではなく,市民参加型のシンポジウムであった点が高く評価されています。
高校生・大学生による発表に対しては「若い世代の率直な意見に感銘を受けた」「将来の杵築市を担う世代の力強さを感じた」「子どもたちの姿に希望を感じた」といった意見が多く,世代を超えた防災・減災の継承という本シンポジウムの目的が,参加者に強く伝わったことが読み取れます。
さらに,防災意識の向上という観点では「改めて事前の備えの大切さを実感した」「正しく災害を恐れることの重要性を学んだ」「家庭や地域でできることを考えるきっかけになった」といった意見が多く,参加者自身の行動変容につながる契機となったことが示されています。
本シンポジウムは,行政,専門家,市民,そして次世代を担う若者が一堂に会し,杵築市の防災・減災について「自分ごと」として考える貴重な機会となりました。アンケート結果からも防災・減災への関心の高さとともに,杵築市に対して今後の継続的な取組への期待が強く感じられます。
大分大学減災・復興デザイン教育研究センターでは今後も関係機関や地域と連携し,実践的かつ持続可能な減災社会の実現に向けた取組を進めていきます。なお,令和8年度は日出町で開催を予定しています。
実施:令和7年11月15日(土)大分大学,杵築市,大分県,気象庁大分地方気象台,国土地理院九州地方測量部,杵築高等学校,NPO法人リエラ














