台風第10号については最大級の警戒をお願いします

2020年9月4日(金)

風第10号接近に伴う減災センターからのお願い

9月4日19時現在,非常に強い台風第10号は今後特別警報級の勢力まで発達し,その勢力を維持したまま6日(日)から7日(月)にかけて大分県に接近することが予想されています。大分地方気象台によると大分県に最も接近する7日9時頃には,県内の広い範囲で大雨となり河川の増水や氾濫の発生する可能性や土砂災害の危険性があります。今回,台風第10号の経路と大きさは大分県にとっても初めてのケースになることから,雨・風ともに最大級の警戒が必要です。

台風が接近する6日の前日までに台風の備えを終わらせるとともに,ハザードマップや避難所の確認,避難所までの経路等を改めて確認するなどして災害対策に備えてください。大分県の潮位も5日の大潮から6日の中潮に向けて潮位が高い状態が続きますので沿岸部(道路も含め)は高潮への厳重な警戒も必要となります。なお,7月の豪雨災害では県内で多くの道路災害が発生しています。台風接近時における不要不急の外出は避けるとともに,明るいうちの避難を心がけて頂くようお願いいたします。

今後,台風情報・気象情報に留意し,自分の命とともに家族や大切な人の命を守るため,早めの対策と行動をお願いいたします。

大分大学では学生及び教職員の安全を確保するため9月7日(月)を臨時休業としました。
※減災センターは災害対応のため教員が大学に常駐しております。

 

西 隆一郎 減災センター客員教授 (鹿児島大学水産学部教授,海岸工学)より

カテゴリ-5(一世紀に一回規模)のハリケ-ンを経験し,土砂災害で埋まった経験もあり海岸海洋災害に35年間携わっている教員(西 隆一郎)より,皆さんと大切な人の命を守るためのアドバイスをします。最後まで読んでください。

今週末に襲来する可能性のある台風第10号(台風2010号)は,簡単に言うと「人生で1回だけ経験する規模の台風」になる可能性があります。したがって,9月5日(土曜)午前の気象予報で自分の所在地が台風第10号の暴風圏右側半円に入る場合には最大級の危機管理を行う必要があります。

台風対策(電気や火が無くても食べられる食糧と飲料水の確保,ラジオ・懐中電灯の確保,乾電池およびスマホ等用バッテリ-の確保と充電,ハザ-ドマップ・避難所の確認)等を行い,暴風圏内での外出をできるだけ行わないように心がけてください。崖下に住んでいる場合,高潮や高波の影響を受けやすい海辺に住んでいる場合,木造住宅に住んでいる場合等は,標高が確保(標高数m以上)されたコンクリ-ト性の頑丈な避難所に,必要物品を携え早めに避難してください。マスクと消毒用アルコ-ルないしは手洗い石鹸を,避難所には携帯してください。

川沿いの標高が低い所に設置された避難所はお薦めしません。暴風圏内では,決して川沿いや崖下の道路を使って避難したり,地下スペ-スに避難してはいけません。木造住宅に住み暴風圏内で建物の倒壊の恐れを感じる場合は,周りが柱で囲まれ室内空間が狭いトイレや風呂場等が最後の避難スペ-スになる場合があります。安全を最優先に考え,自分と大切な人を守る行動を心がけましょう。今回の台風第10号に関しては「せっかく十分な台風対策をしたのに目立つ被害が発生しなかった」場合は,とても運が良かったと思い感謝してください。

テレビやラジオそしてインタ-ネットで今回の台風10号の説明に使われる,最大風速(50m/s)と最大瞬間風速(70m/s)の意味を理解しましょう。1961年以降,最大瞬間風速50m/s程度以上の風に関しては,台風銀座と言われる鹿児島県鹿児島市では7回,奄美大島(名瀬測候所)では2回,宮崎市では1回熊本市では1回,佐賀市では1回,長崎市では1回,福岡市では2回です。大分県での発生は0回となります。そして,九州本土の県庁所在地では1961年以降,最大瞬間風速が58m/sを超えたことが一回もありません。

九州圏内のほぼ誰も経験したことが無い規模の風が吹く可能性があるのが台風第10号です。不安を感じるかもしれませんが,天気予報を定期的に確認し,備えをできるだけ早めに行いましょう。

 

平成29年9月17日には台風第18号による豪雨によって
津久見市内全域が浸水し甚大な被害が発生した(写真は津久見駅)

ページトップへ戻る