【速報】九州北部豪雨日田地区現地調査結果

2017年7月8日(土)

 大分大学減災・復興デザイン教育研究センターでは,九州北部豪雨災害に伴う日田地区の現地調査を行いました。

 ①小野地区では大規模な土砂崩れが発生し,崩壊した土砂が河道を閉塞しており危険な状態が続いております。崩壊部分については,崩壊頭部断面がかなり急斜面のことから一部が深層崩壊であると考えられます。発生現場から下流では,河川構造物の崩壊,農地への土砂流入が多く見られました。また、地域を横断する小規模な橋に流木引っ掛かって河道をふさぎ,橋周辺部分で洪水や構造物の破壊がみられました。

参考となるリンク:産業技術総合研究所 平成29年7月5日-6日の豪雨による大分県日田市小野で発生した斜面崩壊の地質学的背景

 

 ②花月川,市ノ瀬川が合流する藤山橋周辺部においては,国土交通省の河川監視モニターが設置されており,常時河川を監視しています。特に合流地点では平成24年北部豪雨の災害復旧で河道が拡幅されており一定の効果があったように見受けられました。

 ③小野地区および大鶴地区では多くの河川で護岸構造物の崩壊がみられ,洪水により田畑や道路,住宅街に多くの土砂や流木が堆積しておりました。特に小野地区同様,小規模河川にかかる橋の周辺部分で流木が河動をふさぎ,越水による洪水被害が見られました。橋を中心に上流部の被害が大きく,下流部については越水が河川構造物の背面から流出し,構造物を背後から崩壊させている状況が見受けられました(合流地点)。県内の小規模な河川では,河道と同様程度の断面を持つ橋が多く存在し、防災上、今後は点検も必要かと感じます。

 ④日田市内JR久大線鉄橋では,倒れた橋脚が下流方向に倒れており,フーチング上部1m部分が露出しています。切断(折れたとは考えにくい)された部分は,施工時における橋脚の打ち継ぎ目にあたる部分ではないかと推測できます。切断部分,および上部崩壊部分の躯体には鉄筋が見られず,一般的の橋脚は鉄筋構造物であることから,かなり古い構造であったと考えられます。鉄橋や橋脚上部の点検足場に多くの流木が引っかかり,滑動ではなく転倒における回転モーメント荷重が大きく働き(同時に浮力)、打ち継ぎ目から橋脚が倒れたと推測できます。

 本研究センターでは調査結果を速やかに公開します。
なお,詳しい情報については本ページにある「G空間情報ポータル」http://www.cerd.oita-u.ac.jp/gis/をご覧ください。

 大鶴地区鶴河内川周辺部をUAVで撮影しておりますが,こちらの動画はCERD Facebook(ページ下)をご覧ください。

 

 

 

 

①小野地区周辺

 

 

 

 

②花月川,市ノ瀬合流地点

 

 

 

 

③大鶴地区周辺
※鶴河内川上流は地すべりの危険性があるとのことで避難命令が発令

 

 

大肥川(両河川の合流地点から上流望む)

 

 

 

 

 

鶴河内川(両河川の合流地点から上流望む)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

④日田市内JR久大線花月川橋 橋脚部分

 

 

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